日本財団 図書館


 

体力と健康指標昨年50歳代の男性を対象に、医学的な正常値を手がかりに点数化した健康指標と体力との関連を検討した結果、最大酸素摂取量が36mZ/kg・分以上であることが健康上望ましいことを明らかにした鈴木班は、今年度は40歳代の男性を対象に、体力と健康指標との関連を追究した。
特に今年度は、健康指標を一般的な健康診断で測定される血圧、肥満度、血清脂質濃度および喫煙、アルコール過剰摂取、運動不足などのライフスタイルに起因する健康阻害因子を、それぞれ1点あるいはO点で得点化(Health Index Score:HIS)し、比握力、推定Vo2max、長座体前屈および全身反応時間と比較検討した。
その結果、?@HIS得点が増すほどすべての体力要素の成績が低下し、?A健康上好ましくないと考えられるHIS≧3の境界値は、比握力で66.1、Vo2maxで41.2mZ/kg分、長座体前屈で2.4cm、全身反応時間で373msecであることを明らかにした。また、HIS≧3は、おおむね70%以上の特異度で健康人を検出できたので、上記の値は企業等における健康確保のための体力の維持目標レベルになり得ることが議論された。
一方、昨年の研究で30歳以上の成人の体力と医学的検査データとを検討し、最大酸素摂取量の低い群など、血液データに異常値の発生率が高いことを見いだした堀田班は、今年度は高度肥満の中年女性を対象とした減量プログラムの中に運動プログラムをとり入れ、減量にともなう身体組成、体力および血液データとの関係を検討した。
研究対象とした被験者は健康で月経周期が正常な中年の高度肥満女性8名で、まず4ヵ月間は減食だけで減量を行わせ、その後の4ヵ月は歩行を中心とした運動プログラム(≧300kcal/日)を加えた。
その結果、食事療法では体重およびBMIしか低下しなかったが、運動を加えるとさらに体脂肪率および体脂肪量も有意に低下すること、Vo2maxは減食だけでは変化しないが、運動を行うと増加すること、および減食で血糖値と総コレステロールが低下するが、運動が加わるとさらにHDLコレステロールが増加し、その増加は1日の運動による消費エネルギーに比例することなどを観察した。
さらに、運動習慣、体力水準および血液性状が互いに関連を持って変動することが示された。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION